原田マハ『ハグとナガラ』感想。30代の私が、40代以降の生き方をちょっと楽しみに思えた話。

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去年の春ごろ、30代になってしばらく経った私はあらゆることに悩んでいて、「この先どう生きていこう、何を楽しみにしたらいいんだろう」と、漠然と暗い気持ちに呑まれていました。(突然思い立ってDuolingoを毎日ガリガリ始めたのも、ちょうどこの時期のことだったり…)

「30代、40代、50代……私の人生、この先どうなるんだろう」

まだ見ぬ未来にうっすら怯えていたとき、手元にあったのが原田マハさんの『ハグとナガラ』でした。

40代から50代の彼女たちが、眩しかった

20代の頃に比べれば、30代になった今はずいぶん生きやすくなったと感じています。昔は今よりもコンプレックスが多くて、細かいことを気にしては悩んでばかりいたので。

でも作中で軽快に旅をする「ハグ」と「ナガラ」という40代から50代の女性たちの姿を見ていたら、「歳を重ねるのって、こんなに格好よくて愛おしいことなんだ」と、なんだか目の前がパッと明るくなった気がしました。

それに、彼女たちは、ただ優雅に旅をしているわけじゃない。

一人は介護という重い現実を背負い、もう一人は独身としての葛藤や仕事に揉まれている。息が詰まりそうな日常から、お互いを連れ出すようにしてタフな弾丸旅へ出かけていく。

私自身、子どもを作る予定がない人生を選んでいることもあって、現実を抱えながらも美味しいものを食べて、笑い合い、お互いを労い合う彼女たちのライフスタイルがとにかく眩しく映りました。「ああ、いいな。こんなふうにタフで軽やかな大人になりたいな」と、未来の自分の姿をつい重ねてしまいました。

こういう旅の味わい方や、人を思いやる深みって、きっと20代や30代前半の引き出しではまだ出てこないもので。年齢を重ねて、いろんなものを乗り越えてきたからこそ手に入る、そういうものなんだろうなと思ったりします。

現実の重さと、それでも続いていく旅

もちろん、この小説はただ綺麗なだけの話じゃないです。

歳を重ねるということは、同時に「親の介護」とか転職とか、若い頃には存在すらしていなかった生々しい現実が次々と目の前に現れてくるということでもある。

物語の中でも、そういう現実の重みはしっかり描かれています。でも二人の人生は続いていく。どれだけ現実に揉まれても、「旅」という強い絆でつながっていて、お互いの存在そのものが救いになっている。

本を閉じたとき、人生の少し先を歩く大先輩から「まぁ、色々大変だけどそんなに悪くないよ」と肩をポンと叩かれたような、静かな前向きさが胸に残りました。

未来の選択肢が、一つ増えた

実際の40代、50代が本当にそんなに余裕しゃくしゃくなのかは、その年齢になってみないとわかりません。相変わらずうじうじ別の悩みを抱えている可能性も十分あります。笑

それでもこの本を読んで、「40代からの人生も、しんどいことはあるけどなんだか楽しそう」という選択肢が一つ増えたのは間違いないです。

いつかやってくる未来に怯えて今をすり減らすくらいなら、彼女たちのように生きられるようになりたい。そのために30代の今を頑張りたい……そんなカッコイイ言い切りをする自信はまだないんですが、やれることはやっておきたいなと思ったりします。

40代以降の自分が想像できなくて、不安を抱えて迷子になっている人に読んでほしい一冊です。


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